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目クソ鼻クソ

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「今日はいないですよ。昨日あれだけカメラマンが集まって大騒ぎしていたからね。私がどれだけ止めろと言っても誰も聞きやしない」

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それだけ言うと、彼は渋い顔をして俺と反対方向へ歩いて行った。

オオマシコを撮影した森へ久しぶりに行ってみた。撮影ポイントに数人のカメラマンはいたものの、肝心のオオマシコは影も形もなく、時折ゴジュウカラやカシラダカが訪れるだけだった。こんな遠くまで来てカシラダカなんか写しても仕方ないので、他のポイントへ移動中、すれ違ったカメラマンにオオマシコのことを訊いてみた。そしたら帰ってきたのが↑のセリフだった。

彼の情報を整理してみると、昨日まではオオマシコは確かにいたが、カメラマンが大勢寄ってたかって撮影のために鳥に迫った挙句、今日は怖がって何処かに隠れてしまったのだろう…ということだった。昨日今日と温かかったから、北に向けて旅立ったとも推測できるが、時期的にはまだ少し早いのも事実だ。いろんな事情を踏まえてみると、すれ違ったカメラマンが言うように、オオマシコは抜けてしまったというより人間を怖がって隠れてしまったのだろう…と思った。

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結局この日は肝心のオオマシコは最後まで見つからず、コガラ、ヤマガラ、ゴジュウカラ、カシラダカしか見ることができず帰ってきたのだが、一応コガラとゴジュウカラだけ写真に撮った。俺は何らかの理由がない限り、基本的に同じ撮影地へ連続で通うことはない。それは同じ場所へ集中して通うと野鳥にプレッシャーをかけるから…という理由だが、別に俺が行かなくとも他の人が行くから実質的には何も意味がない。結果的に自己満的倫理観で終わっているわけだが、俺なりの野鳥に対する姿勢としている。先輩のご厚意で教えてもらったクマタカはロケハン含めて2回しか行ってないし、やはりご厚意で教えてもらったコミミズクも、遠いからってこともあるが、一度しか行ってない。クマタカもコミミズクも行ってみたら条件的に最優良ともいえる撮影地で、一度撮影に行っただけでほぼ満足できるだけの結果が残せたから、これで十分。必要以上に通っては鳥にプレッシャーをかけてしまう。もし次に行くとしたら、よほど違う写真が狙える時だろう。因みに、このオオマシコの撮影現場に訪れたのは3ヶ月ぶりだった。
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この趣味をやってると、野鳥対人間の関係以上に、人間対人間の関係で嫌になることが多々ある。一羽の野鳥を巡って我先にと前へ出ようとするカメラマン。情報を教えてもらおうと声をかけると嘘の情報を語るカメラマン(だいたい聞いてる瞬間に嘘だと分かる。そして嘘を吐くカメラマンほど、こっちの持ってる情報を聞き出そうとして執拗に質問を返してくる)。ここは俺たちの縄張りだとでも言うような態度を取る変人カメラマン(場所は公園や河川敷など公の土地)。

写真を撮らずに純粋にバードウォッチングを楽しむ人たちの中には、野鳥カメラマンをゴミのように嫌う人もいる。以前出入りしていたmixiの野鳥コミュでは、まるで「俺が野鳥を保護してるんだ」と変な勘違いした人がスレッド(mixiではトピック)を支配して、野鳥の営巣写真を上げたカメラマンを摘発し、それをさぞ自慢するかのように語っていたこともある。確かに営巣中の野鳥の写真を上げるのは良くないと思うが、じゃあお前は警察か環境保護レンジャーにでもなったつもりか、お前にそんな権限があるのかと突っ込んだら、逆切れされてしまった。野鳥の写真撮影に、カメラマンとしての道徳観や性善説的な行動が求められるのは仕方ないことだ。だが行き過ぎた行動を取るカメラマンを摘発し、正義の味方のように振る舞う一部の変な輩のやってることは正しいことなのか?俺には目クソ鼻クソって言葉がピッタリのように思えるのだが。
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撮影マナーってのは、例えば光学機器メーカーであるとか、どこぞの野鳥の会あたりが啓蒙活動として普及すればよいことであって、いい歳こいたオッサンがドンパチやりあったり、キツネとタヌキみたいな化かし合いなんかやったところで、何も変わることなんかない。








by ki43-oscar | 2018-03-08 02:08 | オオマシコ